F値、シャッタースピード、ISO感度を覚える【一眼カメラで動画撮影する際の設定】

カメラ・ガジェット

最近では、一般の方からプロの現場まで、映像撮影に一眼レフやミラーレスカメラを活用する機会が増えてきました。

VIIDEOX
私自身、SONYのFX3やαシリーズを使用していますが、カメラの設定は今でも奥が深く、簡単とは言えません。

近年のミラーレスカメラは、オートモードでも十分綺麗な映像が撮れるようになってきています。とはいえ、プロの現場ではマニュアル設定が主流。オート機能がどれだけ進化しても、あらゆる撮影シチュエーションに対応できるわけではありません。

本記事では、これから一眼カメラで動画撮影を始める方向けに、最低限知っておきたい基本設定をわかりやすくご紹介します。

少しでも参考になれば幸いです。

今回は、以下の3つの基本要素を中心に解説します。

・F値(絞り)
・シャッタースピード(SS)
・ISO感度

について解説しています。

F値を下げるとボケ感UP?ISOを上げると画質が荒くなる?シャッタースピードはFPSの倍?

・F値(絞り)
・シャッタースピード(SS)
・ISO感度

動画撮影を始めたばかりの方は、こういった用語を見て「難しそう…」と感じるかもしれません。ですが、基本さえ理解すれば、設定は少しずつ感覚で掴めるようになってきます。まずは、F値(絞り)・シャッタースピード(SS)・ISO感度の話に入る前に、FPS(フレームレート)の概念から理解しておきましょう。

動画は「連続した写真の集まり」と言われます。たとえば24fpsの映像は、1秒間に24枚の写真が連続して再生されている、ということになります。(いわばパラパラ漫画と同じです!)

FPS値 特徴と用途
24fps 映画でよく使われる“シネマティック”な質感
30fps テレビ番組やYouTube等で一般的
60fps〜120fps スポーツやスローモーション向き。滑らかさ重視

FPSの値が大きくなれば、滑らかな映像になります。

一般的に、24fpsは映画でよく使われる設定で、シネマティックな雰囲気を出したいときに用いられます。一方、テレビ番組やYouTubeなどの一般的な映像では30fpsが多く使われます。また、60fpsや120fpsといった高フレームレートは、スローモーションを活かした表現や、スポーツ・動きの速い被写体の撮影に適しています。

FPSの仕組みを理解しておくと、このあと解説する**シャッタースピード(SS)**の理解がグッと深まりますよ。

 

シャッタースピード(SS)について

シャッタースピード(SS)**とは、シャッターが開いてから閉じるまでの時間のことです。この間に光がセンサーに当たり、映像が記録されます。

  • シャッターがゆっくり閉じる → 光を多く取り込む

  • シャッターが速く閉じる → 光を少なく取り込む

動画撮影では、このSSが速すぎても遅すぎても不自然な映像になってしまいます。適切なSSでは、1フレームごとに少しだけ被写体がブレることで、自然で滑らかな映像になります。

基本の目安は「フレームレート(FPS)の約2倍」。

  • 24fps → 1/50秒

  • 30fps → 1/60秒

  • 60fps → 1/120秒

※注意点は、蛍光灯などの照明がある箇所で撮影する際の設定です。

蛍光灯は、点灯している様に見えますが、実際は点滅を繰り返しています。東日本は50Hz 西日本は60Hzなので、その点滅に合わせたシャッタースピードの設定が必要になります。

この周波数に合っていないシャッタースピードで撮ると、映像がチカチカ(フリッカー)してしまいます。

  • 東日本(50Hz) → 1/50秒や1/100秒など、50の倍数

  • 西日本(60Hz) → 1/60秒や1/120秒など、60の倍数

この点にも注意しましょう。

 

F値(絞り値)について(被写界深度)

一眼カメラを使い始めると、レンズに「F1.4」や「F3.5-6.3」といった表記があることに気づくと思います。これは「F値(絞り)」を示しており、レンズがどれだけ光を取り込めるかを表す数値です。

F値が小さいほど…

  • 光を多く取り込める

  • 背景が大きくボケる(浅い被写界深度)

  • ピントが合う範囲が狭くなる

F値は、カメラ内部の「光を通す穴の大きさ」のイメージで、数値が小さいほど「穴が大きい」=「明るくボケ感のある映像」が撮れます。

F値を上げると…

  • 光の量が少なくなる

  • ボケが減り、全体にピントが合いやすくなる(深い被写界深度)

風景や集合写真など、全体にピントを合わせたいときはF8〜F11など高めのF値が使われます。

何を撮影するかにもよって変わってきますが、PR映像などでは、基本的に、F値は低め(開放)で撮って、ISOやシャッタースピードで調整するのが一般的です。

 

ISO感度について

ISO感度(日本では「イソ感度」と呼ばれます)とは、レンズから入ってきた光を、カメラ内でどれだけ増幅させるかを示す指標です。

光が少ない場所でも撮影できるように、カメラが「電気的に光を増やす」イメージです。

ISOの数値を上げる → より明るく撮れる。ただしその分、ノイズ(ザラつき)が増えやすい という特徴があります。(カメラ機種によって、一概に言えない部分もございますが、)

カメラ内に入る光の量は、シャッタースピードと絞り(F値)で決まりますが、その取り入れた光の量から適切な綺麗な画像(映像)を作るために光の電気信号を増幅させる機能です。

ISO感度を100から200にすると、2倍感度が高くなります

たとえば、ISO100で撮っていた場所の明るさが半分になったとしても、ISO200に上げれば同じ明るさで撮れるイメージです。

ISOはAuto(オート)モードでもある程度は適切に設定されます。
ただし、夜の撮影や暗所では、自動でISOが上がりすぎてノイズが強く出てしまうこともあります。そのため、そういった環境では手動設定が推奨です。

▼設定の工夫

  • 暗所で撮影する場合は、あらかじめ適正なISO感度をテストしておきましょう。

  • ノイズが気にならない上限値を決めてAutoに設定しておくのも有効です。

  • ちなみに、私は基本的にマニュアル設定派。ISOは常に自分で調整し、オートはほとんど使いません。

ISO感度は、数値が低いほどノイズが少なく、高画質で撮影できる傾向があります。(機種によって、一概にも言えない部分もあるが)そのため、できる限り低いISOで撮影することを心がけると良いでしょう。

暗い場所で動画を撮影する際は、ISO感度を少しずつ上げながら、ノイズが発生せずに綺麗に撮れる設定値を探っていきます。

もしISO感度を上げることでノイズが目立ってくるようであれば、まずはF値に余裕があれば開放側に調整したり、照明を追加するなど、他の方法で明るさを確保するのがおすすめです。

 

【追記】NDフィルター

日中の屋外撮影では、太陽光が強すぎて、カメラの設定だけでは明るさをコントロールしきれず、白飛びしてしまうことがあります。

そんな時に活躍するのが NDフィルター です。NDフィルターは、レンズに取り付ける「サングラス」のようなもので、入ってくる光の量を減らし、適正な露出を保つことができます。

私が使用しているのは以下のNDフィルターです。※使用する際は、レンズの口径に合ったサイズを選ぶ必要があります。

 

以上、今回は映像制作において最低限覚えておきたいカメラ設定の基本(F値・シャッタースピード・ISO感度)について解説させていただきました。

本記事が、少しでもベストな設定で美しい映像を撮影するためのヒントになっていれば幸いです。

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